The Journal of JASTRO
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食道癌腔内照射における腫瘍最小線量の影響
本田 賢也広田 佐栄子副島 俊典菱川 良夫大林 加代子高田 佳木
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1997 年 9 巻 2 号 p. 107-114

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抄録
われわれの施設では1982年よりバルーン式アプリケータを用いて食道癌に対する高線量率腔内照射を行っている.線量評価点は粘膜下5mmの点とし, 50~60Gyの外照射の後10~12Gy照射するのを基本としている.しかしながら外照射後の残存腫瘍壁厚は症例により様々である.1991年8月から1994年4月に腔内照射を施行した食道癌17症例について, 残存腫瘍壁厚を外照射終了後超音波内視鏡を用いて計測した.腫瘍浸潤最小線量は治療用コンピュータを用いて算出した.
腫瘍最小線量は腫瘍壁厚と相関しており, 腫瘍最小線量が高い症例は局所再発が抑えられる可能性が示唆された.特に腫瘍最小線量が9Gy以上と未満の症例間で局所制御に有意差が認められた.9Gy以上照射できた症例はいずれも, 治療前T1もしくはT2と診断した症例であった.さらにバルーン径と腫瘍最小線量の関係を検討したところ, 外照射後の残存腫瘍壁厚が8-9mm以下の症例が腔内照射において腫瘍最小線量9Gy以上照射可能であった.従って, これら早期の食道癌が腔内照射の適応になると考えられた.いずれにしても, 腔内照射前に超音波内視鏡を施行することは, 局所再発の可能性を知るのに非常に有用であると考えられた.
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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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