日本ベンチャー学会誌
Online ISSN : 2433-8338
Print ISSN : 1883-4949
事例研究論文
新興3市場における収益率のボラティリティ変動モデル による分析
―ライブドアショックが新興3市場に与えた影響―
塩濱 敬之高石 尚和
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2007 年 10 巻 p. 41-50

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抄録
ベンチャー企業育成のために新興3市場が果たす役割は大きい。本論文は、新興3市場における収益率とボラティリティ変動に関する実証分析である。分析には、GARCH-Mモデルを用い、新興市場の流動性の指標である売買代金がボラティリティに与える影響と高リスクを伴うベンチャー企業に投資するときのリスクとリターンの関係を捉えることを目的としている。そのために2006年1月17日のライブドアショックが新興3市場に与えた影響について検討した。本論文で得られた主な結論は以下のとおりである。(1)ライブドアショックは新興3市場のすべてにおいて収益率のボラティリティを増加させた。(2)その要因として株価指数の下落がボラティリティを増大させた。(3)新興市場における流動性の指数として売買代金を考えると、ライブドアショック以降新興市場の流動性は低下しているが、それがボラティリティや収益率に与えた影響はない。(4)リスクとリターンのトレードオフ関係はライブドアショック以降新興市場において存在しない。
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© 2007 日本ベンチャー学会
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