2008 年 12 巻 p. 3-12
本研究は、創業準備期における企業家ネットワーキングのプロセスを詳細に記述・分析することでより分析的な概念を開発することを目的としている。分析対象は硬直的だった動物保険業界に新規参入し、急成長を果たしたアニコムインターナショナル株式会社(アニコムグループ)である。分析の結果、これまで企業家を中心とした視点で議論されていた企業家ネットワークを、協力者側からの選別という視点で見ることによって、新たなネットワーク形成の原理が提示できることが明らかとなった。同時に、場およびインフォーマルヒエラルキーと本事例の企業家ネットワークの相違点について理論的視点から議論をおこない、理論的インプリケーションの提示を試みている。