抄録
日本は、戦後50年の経済システムの変革をせまられている。国と規制、業界ルールに守られ、企業や国民の意識から、リスクがあっても挑戦する者を評価し、多くの起業家を輩出するベンチャー風土が失われてしまった結果である。経済イノベーションには、多様なベンチャー企業の輩出が不可欠である。この小論文では、戦後50年、右肩上がりの成長をしてきた日本企業のリストラクチャリングの動向を明らかにし、「起業活動と経済成長との相関関係」があるとの調査結果から、日本の置かれている危機的状況を明確にする。次に、1995年から始まった官主導型のベンチャー支援インフラの整備から、「日本人の起業家に対する意識変化」が起こったか否かを調査データによって証明し、「ベンチャー風土の変革の可能性」を探り、「大学・地域一体型ベンチャー輩出スキーム」によって、風土変革が可能であることに言及したい。