抄録
自らを変革し市場構造やゲームのルールを定義し直しイノベーションを達成した企業の行動を観察すると、変化をリスクというよりむしろチャンスとしてとらえているようである。本稿で取り上げた既存企業内でのイノベーション事例は、その対象、推進者および方法という観点から、1)グローバルスタンダード創出型イノベーション、2)協調型イノベーション、3)バリューチェーン変革型イノベーションに分けられる。そして実務レベルでイノベーションを担うイントラプレナーに加え、彼らをエナジャイズするイントラプレナー・アクセルレイター、組織境界を越えて外部ベンチャーとの利害調整を行うイントラプレナー・コラボレイター、そして時にはアウトサイダー的イントラプレナーの存在および役割が、イノベーションを推進するために重要であることが、帰納的事例分析によって明らかとなった。