抄録
日本のベンチャーキャピタル(以下VCと略す)の投資事業組合(以下ファンドもしくは組合と略す)は、VCの利益相反行為を阻止する組合規約が不備なこともあって、その運営には不透明さが多い。特に、日本特有の現象として株式公開VC会社が5社存在し、ファンド出資者およびVCの株主との利益相反が大きな問題となっている。筆者(門脇、1997)は、VCと出資者間のガバナンスの観点から、利益相反を回避したわが国の投資事業組合規約を提言し、さらに筆者(門脇、2000)は、VCのエージェンシー理論を考察し、わが国VCのファンド運営において、モラルハザードが生じる要因とその回避策を提言した。本稿では、上記2論文を基に、VCの受託者責任と利益相反問題を、株式公開VC会社に焦点を当て考察する。