抄録
本稿では、2016年以降に東京証券取引所マザーズ市場に新規株式公開(IPO、新規上場)を実施した国内企業217社を分析し、IPO時に株式公開後の投資家に提示した会計面での業績予想を達成できなかった企業(いわゆる「上場ゴール」企業)は、IPOから500日後の株価パフォーマンスが大きく悪化することを発見した。これは、投資家が業績予想の精度を考慮していないことを示唆する。ポストIPOの企業成長には、株価を伸ばし、株式市場を通じて資金を調達することが必要となるため、IPO時に提示する業績予想の質が重要となる。本稿は、国内スタートアップ企業の業績予想の精度が、IPO後の株価に影響をもたらす証拠を提示することで、IPO市場整備の議論に貢献することが目的である。