2022 年 40 巻 p. 97-111
ESGやSDGsへの関心の高まりと共に、米国発の未上場企業向けESG経営の支援認証制度であるBコープは現在世界で5,300社を上回るが、日本におけるBコープ取得はまだ数社に過ぎない。またBコープについての実証研究も世界で増えてきているが、日本では認証企業が少ないこともあり、Bコープの実証研究は非常に少ない。本研究は、この国際的な中堅中小企業向けのESG認証であるBコープを取得した日本企業6社にインタビュー調査を行い、Bコープ認証の経験を語ってもらった上で、その結果について質的研究を行うことで、認証取得に向けた企業の経営活動についてのモデル化を試みた。具体的にはBコープ取得の動機や結果、その経営への効果や負担などの評価について、グラウンデッド・セオリー・アプローチで分析した。Bコープ認証プロセスを企業経営の観点で探索的な仮説モデルを提示した研究は、日本で希少かつ独創的な知見を提供するものと考える。