抄録
現在、世界中で実践されている起業家教育は、個人のアントレプレナーシップを促進する有効な手段の1つである。しかし、従来の起業家教育研究では、受講生の起業意思が主要な効果指標とされており、就職が一般的な日本社会への適用が難しい。さらに、高等教育で実践されるプログラムが主な研究対象であり、今後期待される中等教育での実践効果が解明されていない。こうした問題意識に基づき、本研究は中等教育の起業家教育プログラムが、社会人となった生徒の能力や行動に及ぼす影響とその長期プロセスを解明することを目的とする。本研究では日本の中等教育における起業家教育の先進事例として品川女子学院の起業家教育プログラムを取り上げる。2020年に実施した卒業生246人のアンケートデータを用いて共分散構造分析を行った結果、 (1)中高における起業家教育は中高での自己決定行動を促進し、 (2)中高における自己決定行動が大学内外でのリーダーシップに影響する、 (3)大学内外でのリーダーシップは社会人になってからのキャリアへの希望やアントレプレナーシップに影響する長期的プロセスが抽出された。