2015 年 31 巻 1 号 p. 22-31
文部科学省が職業能力開発大学校・短期大学校と大学の単位互換について認める流れにある。その一方で、大学との同質性を強めると、職業訓練機関としての特性が失われることが懸念されている。本論文では職業訓練の特徴を生かしながら、四国職業能力開発大学校から平成12年~平成22年に職業能力開発総合大学校や他大学へ編入・進学した15名(編入7名、研究課程への進学1名、一般大学への進学7名)を事例に、「職業訓練の世界」と「アカデミックな世界」の接続から見えてきた「職業能力開発総合大学校の役割」と「高度職業訓練の社会的意義」を考察する。ここでは、ミクロ的視点からの考察として「職業能力開発総合大学校の役割」は「アカデミックな世界」へ接続する中継地点としての役割があること、また「高度職業訓練の社会的意義」は、技能・技術の力を伝授する複線型の教育訓練制度にあることを述べる。