動脈硬化
Online ISSN : 2185-8284
Print ISSN : 0386-2682
ISSN-L : 0386-2682
閉塞性動脈疾患および糖尿病における血液線溶活性と筋血流量に関する研究
厚美 利行, 本田 由美子, 松田 政勝, 服部 孝夫, 伊藤 幸郎
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1975 年 3 巻 2 号 p. 187-195

詳細
抄録
閉塞性動脈疾患および閉塞性動脈硬化症を合併しやすいといわれている糖尿病において, 血液線溶活性の低下, 高フィブリノーゲン血症が, どの程度血流障害因子として働いているかを検討する目的で血液線溶活性と筋血流量とを同時に測定して検討してみた.
症例は未治療の閉塞性動脈硬化症44例, 治療中の糖尿病患者40例で, 血漿フィブリノーゲン値, フィブリン平板法による血液線溶活性, Xe-133クリアランス法による下肢前脛骨筋の虚血後の反応性充血血流量を同時に測定した. また6例の閉塞性血栓性血管炎については同時測定を行わずに別々に検査を行った.
筋血流量の健常対照例としては健常人10例 (20肢) を用い, 血液線溶活性, フィブリノーゲン値測定の健常対照例としては14例の健常人を用いた.
血漿フィブリノーゲン値は閉塞性動脈硬化症では, 平均379.5±S. E. 22.3mg/dlで, 健常対照群 (平均300.9±8.8mg/dl) に比較して有意 (p<0.01)に高く, 閉塞性血栓性血管炎では282.3±23.7mg/dl, 糖尿病では319.2±19.1mg/dlであった. Euglobulin による標準平板の溶解能は健常対照群では平均107.0±5.1mm2で, 閉塞性血栓性血管炎, 糖尿病ではそれぞれ67.0±14.4mm2 (p<0.01), 67.5±6.6mm2 (p<0.01) であった. ストレプトキナーゼ添加 Euglobulin による加熱平板の溶解能は閉塞性動脈硬化症 (P<0.05) および閉塞性血栓性血管炎 (p<0.01) では有意の上昇をみた.
筋血流量は健常対照群では平均21.7±1.2ml/100g/minであったが, 閉塞性動脈硬化症では健肢11.8±1.8ml (以下/100g/minを省略), 患肢10.0±0.7ml, 閉塞性血栓性血管炎では健肢13.3±1.4ml, 患肢13.1±1.9ml, 糖尿病では 14.9±1.2mlで, 各疾患群では健肢, 患肢ともに筋血流量の有意 (p<0.01およびp<0.05) の低下がみられた.
そこで筋血流量を血流障害因子の1つである血漿フィブリノーゲン値と対比して考察したところ, 既発表の高安病の健肢から得られたようなきれいな相関はみられず, 血流障害因子としては血漿フィブリノーゲン値のほかの他の要素も考慮しなけれぼならないことがわかった. これらの要素としては閉塞性動脈硬化症においては当然のことながら動脈閉塞であるが, 糖尿病においては細動脈領域の機能的または器質的な血管障害のあることを考えなければならないという結論に到達した.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本動脈硬化学会

This article is licensed under a Creative Commons [Attribution-NonCommercial-ShareAlike 4.0 International] license.
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/
前の記事 次の記事
feedback
Top