支援工学理学療法学会誌
Online ISSN : 2436-6951
原著
車椅子使用者のトイレ室内転倒検出における熱画像センサ設置位置の選定のための模擬試験
白銀 暁木戸 聡史村田 健児宮坂 智哉佐賀 匡史濱口 豊大田中 敏明
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2022 年 3 巻 1 号 p. 5-12

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抄録

トイレは転倒が生じやすい場所の1つだが、プライバシー性が高く、それを監視するシステムの導入が難しい。一方、熱画像は人体の検出に用いられるが、顔などの細部が判別できないためそのような環境への適用可能性が高い。本研究は、この熱画像センサを応用した転倒検出システムに関して、車椅子使用者を想定した際のトイレ室内センサ設置位置による検出精度の違いを確認した。室内の向きと高さが異なる4カ所にセンサを設置し、健常成人8名を対象に車椅子を用いた排泄動作と転倒姿勢を記録し、判別分析を行って転倒検出率を比較した。結果、車椅子を使用する対象者では正面方向で天井に近い高さに設置した場合の判別率が最も高く、同じ対象者の正面方向でも低い位置では判別率が最も低かった。本結果は、センサの単純な向きや高さでなく、転倒姿勢の全身が撮像可能であるかなど、トイレの室内環境や想定される転倒状況などを踏まえた検討の必要性を示唆する。

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© 2022 日本支援工学理学療法学会
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