日本テレワーク学会誌
Online ISSN : 2433-1945
Print ISSN : 1347-3115
グローバル人口動態からみたオフショア・コールセンター立地に関する検討(<特集>グローバリゼーションとテレワーク)
榊原 憲
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 11 巻 1 号 p. 35-50

詳細
抄録
オフショア・アウトソーシングは、テレワークが可能になったことにより急速に発展しつつある。海外ヘアウトソースする第1の目的はコスト削減であるため、受託地域は労務コストの低廉な国々となる。しかし、それらの国々の多くもいずれは経済発展に伴い高賃金になることが予想されるので、委託企業等は受託地域の変化、特に賃金上昇の有無とその起こりうる時期、また将来新たに受託候補となる地域を予測し、必要であれば敏速に受託地域を変更しなければならない。また受託企業等もそれを予測して供給能力を調整する必要がある。本研究ではオフショア・アウトソーシングの中でも、人手の介在が不可欠なため労務コストの影響を特に受けやすいオフショア・コールセンターについてその立地の将来予測を行なった。その結果、インドは年少従属人口比率が急激に低下し高賃金化が予測され立地メリット低下が懸念されること、現在すでにインドより一人当たり所得が若干高いフィリピンはそれが見られないため労務コストが抑制され立地メリットが長期間維持されると予想されること、また英語圏向けコールセンター立地の新たな候補として、パキスタン、スワジランドが有望であり、長期的にはジンバブエも候補となることを示した。
著者関連情報
© 2013 日本テレワーク学会
前の記事 次の記事
feedback
Top