日本テレワーク学会誌
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グローバル時代における日本の雇用型テレワークの労働契約についての一考察(<特集>グローバリゼーションとテレワーク)
野口 邦夫
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2013 年 11 巻 1 号 p. 51-55

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抄録

現在およびこれからの日本の雇用型テレワークの労働契約のあり方・考え方を雇用契約の起源の史的考察をもとに考える。グローバリゼーションの進展のなか、日本的雇用慣行は国内外とも通用しなくなる。雇用による仕事の仕方は、日本国内にとどまらず世界規模で考えないといけない。日本の労働法の労働契約は、形式的にはジョブをもとにした契約である。しかし実際の運用は、属する組織とのメンバーシップ契約(身分契約)的となっている。メンバーは長期雇用慣行、年功賃金制度待遇であることから、簡単には解雇されない(解雇権濫用の法理などの判例法理)。ただし、これは正社員のみであり、非正規社員ではジョブ契約の色彩をおびる。日本では非正規雇用の形態で働く人が3割を超えており、従来の正社員基準のメンバーシップ型雇用契約では対応できない。一方日本において、テレワークが普及しない理由としては、労務管理ができないといわれることが多い。これは日本の労働契約はメンバーシップ(その組織に属するメンバーである人事)の管理であり、仕事そのもののジョブの管理ではないからである。以上から、グローバル時代における日本の雇用型テレワークの労働契約は、メンバーシップ型雇用契約からジョブ型雇用契約にワークシフトすべきと提言する。

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