抄録
本研究は、統計調査では把握しきれない実態面を明らかにするため、2009年から2013年までの過去5年間に新聞等で取り上げられたニュース記事に注目した。ニュース記事の見出しおよびリード(前文)に含まれる単語をキーワード検索して、テレワークに関するニュース記事を抽出し、そのうえで更にニュースを特徴付けるキーワードを選出して、分類する手法を用いて日本、米国およびEUにけるテレワーク状況に関する傾向を分析した。3地域を比較すると、米国では政府や政策に関連したニュース記事、特に連邦政府や州政府職員のテレワーク導入促進に関するニュース記事が多く、また負の側面として詐欺事件に関するニュース記事が多い。日本でも米国と同様に政府や政策に関連したニュース記事が多いが、特に事業継続に関連したニュース記事が他地域と比較しての比率が大幅に高く、テレワークを事業継続手段とする関心が高まっていることを示している。なお、日本では導入・拡大に関するニュース記事も他地域よりも比較的多いのが特徴的である。これに対してEUは、特に際立った傾向は見受けられなかったものの、米国ほどではないが、詐欺に関連したニュース記事が増加しつつある。