抄録
現代の内部監査では,リスクマネジメント,コントロールおよび組織体のガバナンスの各プロセスの有効性の評価および改善提案が主たる役割とされ,不正の防止や発見は,主たる役割として明示されてはいない。しかし,内部監査人が不正の防止や発見に一定の責任を果たさなければ,主たる役割も達成されない。本稿では,主として内部監査人協会による「内部監査の専門的実施の国際基準」に基づき,不正に対する内部監査人の責任について検討し,コントロールに不正防止プログラムが組み込まれ,有効に機能しているかを評価し,改善を提案する役割を果たすべきことについて論述した。これを受け,その責任を果たすために内部監査人にとって必要な能力・経験および他の監査との連携について論述した。