現代監査
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ISA540における「見積りの不確実性」の内容と役割に関する分析
奥西 康宏
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2010 年 2010 巻 20 号 p. 79-88

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抄録
本稿は,国際会計士連盟の国際監査・保証基準審議会が,2008年2月に公開した国際監査基準第540号について,特に「見積りの不確実性」の内容と役割を分析したものである。筆者は,結論として,「見積りの不確実性」は,この基準では,簡単な定義と例示および影響を与える複数の要因の指摘によって説明されているにすぎないが,リスク評価手続において,重要な虚偽表示のリスクの代理変数としての役割を果たしていることと,特別な検討を要するリスクのある見積りに対する追加手続において,監査上重要な検討対象としての役割を果たしていることを示した。「見積りの不確実性」は,実務上どのような影響を与えるかについては,現時点では判断できないが,今後の見積りの監査手続の軸となる概念であると見られる。
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© 2010 日本監査研究学会
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