2014 年 2014 巻 24 号 p. 26-34
会計プロフェッションの世界のグローバリーゼーションを主導する国際会計士連盟は,「公共の利益」を中心的なイデオロギー装置として,国際監査・保証基準審議会を通して国際的な監査規範の開発とその履行を企図している。ところが,何をもって「公共の利益」とするかについては,各国の文化や社会的な価値観の違いにより異なった解釈がなされる可能性がある。そこで,「公共の利益」を基本理念とした国際的な監査規範を国内規範として組み込む際には,それぞれの国の文化や価値観を考慮する必要がある。グローバリーゼーションの下での監査規範のあり方を考える上で重要なことは,公認会計士が経済社会からの信頼を失墜することなく,財務諸表監査に対する経済社会のニーズにどう応えることができるか,ということである。