現代監査
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監査上の主要な検討事項(KAM)の早期適用の影響と KAM開示企業の特徴
日本におけるKAM導入初年度の証拠
佐久間 義浩
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2021 年 2021 巻 31 号 p. 3-13

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抄録

2018年7月,企業会計審議会は,監査基準の改訂を行い,金融商品取引法上の監査人の監査報告書において,「監査上の主要な検討事項」(Key Audit Matters: 以下,KAMという)の記載を義務付けた 。KAMの開示については,早期適用も認められ,2020年3月期決算の企業を中心に,日本においてもKAMを確認できるようになった。

本稿では,まず日本のKAMの早期適用の開示状況を諸外国のKAMの開示状況との比較を通じて概説した。結果は,KAMの個数や領域について,諸外国とおおむね同様であった。次に,日本におけるKAM導入の影響を検証した。その結果,KAM導入企業全体では,一部,有意な差を析出したものの,おおむね影響が認められないことを明らかにした。さらにKAM導入企業の特徴として,監査コストを負担している企業や,指名委員会等設置会社を選択している企業,IFRS適用企業である可能性が高いことを指摘した。

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© 2021 日本監査研究学会
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