2021 年 2021 巻 31 号 p. 59-69
ビジネスの現場で会社経営や経済活動を理解するには,会計&ファイナンスの知識が必要である。会計とビジネスを結びつける「会計思考力」(会計の数字を使って,経営の現実を読み解く力+現場を変革する力),ファイナンスとビジネスを結びつける「ファイナンス思考力」,さらに近年は,非財務情報の重要性が増しており,経営戦略,リスク管理,コーポレートガバナンスなど経営全般に関する総合力が求められてきている。
我が国の企業の競争力を高めるために,国民の会計リテラシーを向上させ,会計思考力・ファイナンス思考力を高め,会計&ファイナンスと経営を結びつけて経営全般を扱えるような会計人材を育成していくことが求められる。日本公認会計士協会においても,小学・中学生向けの会計基礎教育や社会向けの会計教育に力を入れており,さらに社会からの高まる期待に応えるため,これからの公認会計士に求められる資質の再定義,研修体系の見直しを行っている。日本公認会計士協会・実務補習所,監査法人などの監査現場,企業,教育機関等との連携がますます重要であり,会計人材の育成・確保のための教育や研修など施策を検討し実施していくことが必要である。