日本公認会計士協会の自主規制の取組みに支えられて,公認会計士への信頼が維持され,さらには公認会計士の活動領域の拡大につながっている。「監査に関する品質管理基準」の改訂,「倫理規則」の改正,協会が運用している上場会社監査事務所登録制度を前提として,公認会計士法において上場会社等監査人名簿への登録制が導入される等,自主規制の流れに大きな変化が生じている。自主規制で不十分なところがあれば,公的規制が補完する局面があるかもしれないが,我々公認会計士の活動については,基本的には自主規制でカバーすべきであるし,実効性・有用性の観点では,自主規制の充実を優先すべきである。ただし,規制以前に,全ての公認会計士の活動への信頼のベースとなる職業倫理が重要であり,不確実性の時代においても公認会計士業務における普遍的な概念と思われる『信頼』,さらにそのベースとなる職業倫理を基礎に,今後の環境変化に柔軟に対応していく自主規制が期待される。