2023 年 2023 巻 33 号 p. 74-86
昭和23年に公認会計士法が成立して以来,令和4年の法改正まで16度の国会が開かれた。公認会計士監査の保証機能は公益性に資するが,その法的基礎づけは国会が担う。しかし会計プロフェッションと行政による規制,監視および監督は重視されるが,国会の役割への関心は低い。国会抜きに監査の機能,責務,義務や規制・監督の法定化は成しえないだけに,これは問題である。
そこで昭和23年の公認会計士法成立,その後の法改正を指導する立法の論理を明らかにするのが本稿の主題である。昭和23年の法案の提案趣旨に含まれる立法の論理は,その後の審議の先導役を果たしている。そして監査実務の現状や動向である監査環境,従前の規制に立法の論理が適用されて,新たな規制を含む監査の枠組みが形成されていく。その意味で,立法の成果である公認会計士法の変遷は,戦後の公認会計士監査が担う公益性の担い手の責務の表れである。