抄録
内部監査機能の質に関する学術的関心が高まっている。財務報告の信頼性や内部統制の有効性との関係に注目している先行研究が多い。一方で,内部監査機能には,企業の経営目標の達成に貢献することが期待されている。経営目標の1つとして企業価値の向上があり,内部監査機能の質と正の関係にあることを先行研究は示唆している。内部監査機能の質については,内部監査人の独立性と適格性を構成要素としている。内部監査機能が提供する有益な情報を経営者が様々な意思決定に利用するためには,経営者が内部監査に対してどのような期待をもっているのかは重要である。そして,経営者に報告する情報がより有用なものになるためには,監査対象部門の従業員からの信頼を得る必要がある。内部監査機能に対する経営者や監査対象部門の従業員がどのような期待をもち,内部監査機能がより信頼されるために必要な取組みは何かを解明することは今後の課題の1つになる。