2021 年 13 巻 1 号 p. 7-17
副生殖器である犬の前立腺は膀胱の尾側に存在し、近位尿道を全周に取り囲んでいる。犬の前立腺疾患には、前立腺炎、前立腺膿瘍、前立腺嚢胞、前立腺過形成、前立腺腫瘍などがある。良性の前立腺肥大は6歳を超えた未去勢犬の80%以上に発生すると報告されている。一方で、犬の前立腺の悪性腫瘍の発生率は0.2-0.6%とあまり高いものではないが、潜行性で発見までに時間がかかり、悪性度が高いため、発見された時点で転移していることも多い。こういった疾患に対して、選択する外科治療について解説する。