2021 年 13 巻 1 号 p. 18-26
近年、iPS樹立と共に様々な臓器で、組織の構築に成功している。しかし、腎臓では、血液濾過の要である糸球体毛細血管の形成に成功していない。そこで本研究は、微小重力環境と移植の技術を融合することにより、腎組織を形成させることができるか検討した。マウスの発生期腎臓細胞スフェロイドを複数個、微小重力装置で培養すると、融合スフェロイドを形成した。融合スフェロイド内は尿管芽、ネフロン前駆体と糸球体様組織の形成が確認できた。次に、融合スフェロイドをマウスの腎臓被膜下に移植した結果、ネフロン様組織構造の形成が確認できた。さらに蛍光色素を標識したアルブミンを移植したマウスに灌流させると、移植スフェロイド内にある糸球体様構造にアルブミンの存在が確認され、管腔があることが分かった。