2024 年 15 巻 1 号 p. 41-62
ネコの慢性腎臓病(CKD)の古典的バイオマーカーである血清クレアチニン濃度には、早期CKDのバイオマーカーとしては検出感度が低く不十分である。近年、ネコのCKDの早期発見に役立つ新規糸球体濾過量バイオマーカーとして血清対称性ジメチルアルギニン濃度が導入された。しかしながら、その特異性に関するデータはまだ限られている。従来のバイオマーカーの限界と、CKD罹患ネコの予後を改善するための早期治療介入の必要性から、糸球体や尿細管機能障害を検出する新たな腎機能バイオマーカーの発見と検証が進められてきた。これらのバイオマーカーの血清または尿中濃度の変化は、従来のバイオマーカーの変化が検出可能になる前の早期腎障害の指標となったり、腎機能障害の進行を予測したりする可能性がある。本稿では、過去5年間に大きく進歩した分野であるネコCKDの腎機能バイオマーカーについて現在の知見を述べる。