土木学会論文集B3(海洋開発)
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ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.38
河川水塩分を考慮した南海トラフ地震津波来襲時の淀川における化学物質拡散予測
田窪 亮介米山 望東海 明宏伊藤 理彩
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2022 年 78 巻 2 号 p. I_823-I_828

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抄録

 南海トラフ地震発生時には,淀川付近の事業所から化学物質が漏出し,淀川に流出する可能性がある.その化学物質が津波の河川遡上に伴って拡散し,浄水場に流入することによる取水障害が問題として挙げられる.また,淀川のように大堰が存在する河川では上流側と下流側で河川水塩分が異なるため,それが化学物質移流拡散挙動に影響を及ぼす可能性がある.そこで本研究では,河川水塩分を考慮した上で,津波来襲時に淀川を遡上する化学物質の挙動解析を行い,取水への影響を検討した.

 解析の結果,化学物質が津波遡上に伴って拡散することで取水影響を及ぼす可能性があることを示した.また,大堰上流側と下流側の河川水塩分差が大きい場合に化学物質が長い距離を遡上し,取水影響が大きくなったことから,塩分挙動の考慮と適切な河川水塩分の設定が重要であることが分かった.

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