抄録
急加速する流れが正方形角柱に及ぼす抗力を数値流体解析で評価するとき,通常の数値流体解析で採用される境界条件は上流境界で流速を規定し,下流境界をトラクション・フリーとするが,この解析条件では解析領域全体にわたって上流から下流に向けた圧力勾配がつく。この圧力勾配が加速時の非定常抗力に及ぼす影響を調べるために,ALE法を用いて静止流体中を角柱が運動する解析を実施し,領域内の全体的な圧力勾配がない状況で角柱に作用する非定常抗力を求めた。その結果,抗力のピーク値は,無次元立ち上がり時間が1で3割程度,10で1割程度低減することが分かった。