p. 97-98
環境アセスメントに用いられている「確率的風環境評価尺度」では風によって実際に生じる現象や感覚を想像しにくく、住民にとって理解し難いものとなっている。住民にとっては日常的に風速の測定を行うことは容易ではなく、日常生活の風に関する実感と風速を対応させて、自らの生活する街の風環境を把握している住民は少ないと考えられる。
そこで本研究では、神奈川県川崎市武蔵小杉地区を対象に、同地区の住民にポケット型風速計を配布し風環境調査を行った。計測は関心のある場所で、任意の時刻での風速計測とし、さらにその時目撃した事象や風に対する自由な感想をインターネットに記録することを依頼した。これらのデータから風環境マップを作成し、風に対する記述の傾向を読み解いた。