日本鳥類標識協会誌
Online ISSN : 2187-2481
Print ISSN : 0914-4307
ISSN-L : 0914-4307
一般論文
日本におけるツバメHirundo rusticaの換羽
真野 徹
著者情報
キーワード: ツバメ, 換羽, 換羽休止
ジャーナル フリー

2009 年 21 巻 1 号 p. 22-30

詳細
抄録

鹿児島県,沖縄県,東京都,愛知県,福岡県のツバメの標識調査からツバメの換羽についてまとめた.鹿児島県では8月下旬から9月上旬に,沖縄県では9月中旬から下旬に,また,補助的に東京都にて8月上旬に,愛知県と福岡県で7月中旬に調査を行った.捕獲された大多数のツバメの換羽の状態を調べた.ヨーロッパと日本のツバメの換羽個体の割合の違いを考慮し,渡る距離によって換羽の時期に変化が起こる可能性を示した.これらの換羽中の個体には新たな換羽を休止した個体が確認された.その割合は,7月中旬で0%,8月上旬の東京都で7.1%,8月下旬から9月上旬の鹿児島県で44.6%,9月中下旬の沖縄県で70.4%であった.ヨーロッパと日本の換羽休止状態の割合の違いを示す事によって,飛翔力の低下と渡りの危険を抑えるために,海上を渡る日本のツバメが換羽休止を発達させた可能性を論じた.捕獲された幼鳥の中には,前年生まれで成鳥羽への換羽が終了しない個体が含まれている可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2009 日本鳥類標識協会
前の記事 次の記事
feedback
Top