日本鳥類標識協会誌
Online ISSN : 2187-2481
Print ISSN : 0914-4307
ISSN-L : 0914-4307
観察報告
日本国内で生まれた翌年に出生地に帰還して繁殖したジョウビタキの報告
續 ユキ子
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 30 巻 2 号 p. 107-111

詳細
抄録

2017年5月23日,山梨県北杜市でジョウビタキの巣を発見した.この巣の雌親には環境省標識調査用足環が付いており,写真撮影を行って足環番号を読み取ったところ,この個体は2016年に,繁殖場所から約220m離れた地点で,巣内雛で放鳥された個体と判明した.ジョウビタキは冬鳥だが,近年日本各地から繁殖報告が相次ぎ,繁殖分布の拡大が示唆されている.しかし,国内繁殖個体の越冬地や渡り経路,幼鳥の分散といった基礎的な生態は全く解明されていない.本報告は,日本で生まれたジョウビタキが,巣立ちの翌年に自らが巣立った場所の至近で繁殖を行った確実な記録として,今後の個体群動態を推測するうえでも貴重なものであろう.

著者関連情報
© 2018 日本鳥類標識協会
前の記事
feedback
Top