日本鳥類標識協会誌
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一般論文
地上営巣性鳥類による屋上営巣の増加
早川 雅晴
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2020 年 32 巻 1_2 号 p. 1-11

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抄録

地面に直接かもしくは皿状の巣を造って産卵する鳥類は,レッドデータリストで絶滅危惧に指定されている割合が高いが,この原因の1つに営巣に適した砂浜等の自然の裸地環境の減少が考えられる.地上の裸地環境が減少する一方,屋上の裸地環境で営巣する種が増えてきている.そこでどのような種がいつから屋上で営巣するようになったのかについて,チドリ目に絞って文献調査を行った結果,36種を記録した.屋上営巣する種が増えた時期は,国内・国外共に概ね鉄筋コンクリート製の建物が増加した時期と一致していた.営巣可能な屋上環境があれば鳥類は利用することが伺えるため,今後は屋上を営巣場所として積極的に誘致していくことで,絶滅危惧種の保護に役立つことが期待できる.一方で,屋上営巣している大型のカモメ類では,人の生活との間に軋轢を生じている例もあるので,営巣を望まない種が営巣する場合には,事前に適正な周辺環境の整備も必要と考えられる.

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