日本鳥類標識協会誌
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観察報告
ノゴマLuscinia calliopeの越冬期における神奈川県での捕獲記録と鳥類標識記録による日本での越冬地
原田 俊司白石 利郎
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2020 年 32 巻 1_2 号 p. 42-52

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抄録

日本鳥類目録改定第7版ではノゴマの越冬地は奄美諸島と琉球諸島とされているが,神奈川県で冬期にノゴマLuscinia calliopeを3個体標識放鳥した.山階鳥類研究所より許可を得て,1973年から2015年までの秋の渡り時期と冬期と春の渡り時期の全国での再捕獲を含めたノゴマの標識放鳥記録を入手し,神奈川県だけでなく日本での渡りと越冬状況について調べた.これらの記録は,ノゴマの定期的な越冬地と推定されるのは既知の琉球諸島と奄美諸島だけでなく,奄美諸島の北に位置するトカラ列島と鹿児島県の本土部であることを示していた.神奈川県では渡りの時期を含めても標識放鳥された個体は少なく越冬個体の割合が高いことから,少数が越冬あるいは稀に越冬している可能性が示唆された.更に,静岡県,長野県,兵庫県で少数ではあるが越冬期と推定される時期に捕獲記録があった.積雪が少なく比較的暖かな地域では,越冬期に多くの標識調査をおこなえば更に多くの越冬記録が得られるであろう.

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