2017 年 10 巻 Special_issue 号 p. S26-S28
糖尿病患者の中には血糖コントロールが自分の将来の健康に有益であることがわかっていても,食事制限,運動の励行,規則正しい生活と服薬の遵守ができない患者が少なからず存在する.このような非合理的行動のメカニズムを解明するために,血糖コントロール困難な糖尿病患者の行動経済学的性向およびsocioeconomic statusについて調査を行った.専門医療機関で治療を受けていても血糖コントロール不良の糖尿病患者は,多忙で睡眠不足であり,平均所得が比較的高いにもかかわらず経済的に苦しいと感じる患者の割合が高く,危険回避度が低いことが判明した.働き盛りの患者が日々の生活に追われて合理的判断ができず,危険回避度が低くなっていることが血糖コントロール不良の要因であることが示唆された.