2024 年 16 巻 Special_issue 号 p. S13-S16
デジタルプラットフォームでは,商品検索コストが削減される一方で,表示される情報が操作されるリスクもある.本研究は,デジタルカメラ,ヘッドフォン,スマートウォッチの3つ製品カテゴリを対象に,オンライン実験を行い,フェイレクレビューの可能性が大きい,削除されたユーザーレビューと,情報の表示方法について,これらが被験者の行動に与える影響を分析する.実験の結果,削除レビューが表示される場合には,消費者の選択する商品の品質は有意に低下し,フェイクレビューによる被害が生じていることが示唆される.また,教育的介入の効果は限定的であり,被害防止は簡単ではないことが伺える.レーティング(商品の総合評価)に基づく商品表示順は削除レビューが表示される場合でも有効なことが推察される一方で,時にフェイクレビューの被害を増幅させることも懸念される.