行動経済学
Online ISSN : 2185-3568
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選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
第17回大会プロシーディングス
  • 川越 敏司, 瀧澤 弘和, 田島 直也
    2024 年 16 巻 Special_issue 号 p. S1-S4
    発行日: 2024/03/29
    公開日: 2024/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究では,震災のような外生的ショックが被験者のリスク選好を変えるかどうか,選好の安定性を検証するための実験室実験を実施した.被験者はそれぞれリスク,あいまい性,無知の認識の状況の下で外生的ショックに直面するが,いずれの状況でも確実性等価の平均はショックの前後で変化がなかった.

  • 加藤 大貴, 金 栄録
    2024 年 16 巻 Special_issue 号 p. S5-S8
    発行日: 2024/03/29
    公開日: 2024/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は寄付者と慈善団体の間での慈善団体の行動に関する情報の非対称性が寄付市場に与える影響を経済実験で検証する.我々は寄付市場の構造を再現したPatron–Dictator Gameを構築した.このゲームでは,寄付者と慈善団体が順番に意思決定をし,慈善団体の被支援者である受領者を含めた三者の利得配分が決まる.我々は,慈善団体が先手で意思決定する処置(PDG-FD)と寄付者が先手で意思決定をする処置(PDG-SD)をランダムに施した.実験の結果,寄付者の意思決定時に慈善団体の行動が明らかになっているPDG-FDと比較して,慈善団体の行動が明らかでないPDG-SDは寄付者の平均寄付額を高めるが,受領者の平均ペイオフを高めない.したがって,情報の非対称性のもとでは,寄付が受領者のペイオフを高めないという意味で非効率となる可能性がある.

  • 池端 卓也
    2024 年 16 巻 Special_issue 号 p. S9-S12
    発行日: 2024/03/29
    公開日: 2024/04/10
    ジャーナル フリー

    本稿では,日本証券業協会の「個人投資家の証券投資に関する意識調査」を用いて個人投資家の株式投資の売買損益に影響を及ぼす要因について分析した.その結果,女性が男性よりも株式投資の売買損益がプラスになる可能性が高まることが日本の個人投資家について示された.年齢については,若年層が高齢層よりも株式投資の売買損益がプラスになる可能性が高まることが示された.近年注目が集まっている金融リテラシーについての分析も行った.その結果,金融リテラシーが高いほど,株式投資の売買損益がプラスになる可能性が高いことが示された.本稿ではさらに,株式投資手法についても分析を試みた.

  • 大磯 一, 坂口 洋英, 黒田 敏史, 依田 高典
    2024 年 16 巻 Special_issue 号 p. S13-S16
    発行日: 2024/03/29
    公開日: 2024/04/10
    ジャーナル フリー

    デジタルプラットフォームでは,商品検索コストが削減される一方で,表示される情報が操作されるリスクもある.本研究は,デジタルカメラ,ヘッドフォン,スマートウォッチの3つ製品カテゴリを対象に,オンライン実験を行い,フェイレクレビューの可能性が大きい,削除されたユーザーレビューと,情報の表示方法について,これらが被験者の行動に与える影響を分析する.実験の結果,削除レビューが表示される場合には,消費者の選択する商品の品質は有意に低下し,フェイクレビューによる被害が生じていることが示唆される.また,教育的介入の効果は限定的であり,被害防止は簡単ではないことが伺える.レーティング(商品の総合評価)に基づく商品表示順は削除レビューが表示される場合でも有効なことが推察される一方で,時にフェイクレビューの被害を増幅させることも懸念される.

  • 宮本 弘之, 西出 陽子
    2024 年 16 巻 Special_issue 号 p. S17-S20
    発行日: 2024/03/29
    公開日: 2024/04/10
    ジャーナル フリー

    本稿では,金融リテラシー(主観的,客観的)と資産分散との関係を分析し,金融リテラシーが高い人ほど資産を分散しやすいことを示している.さらに,計画的行動理論を基に,金融リテラシーが資産分散に影響を与える経路について分析を行い,主観的金融リテラシーは資産分散に対する態度,主観的規範(周囲の人々の考えや行動)及び行動統制を通じて,客観的金融リテラシーは態度及び行動統制を通じて,資産分散の意図と行動に影響を与えること,意図と行動の乖離には行動統制が影響を与えていることを明らかにしている.

  • 影山 純二
    2024 年 16 巻 Special_issue 号 p. S21-S24
    発行日: 2024/03/29
    公開日: 2024/04/10
    ジャーナル フリー

    グローバル化の進展とともに,国境を垣根とした偏狭性(自国に対する内集団ひいき,national parochialism)の合理性に疑問符が付くようになった.この問題に接近するに際し,従来のほとんどの研究は実験的手法を用いて偏狭性を測定している.一方,サーベイ・データを用いて偏狭性を測定・分析した研究は最近出版された1本のみである.そこで本稿では,サーベイ・データを用いた分析をその妥当性を含め概観する.その上で,世界価値観調査の日本国内限定質問項目を用い,偏狭性と評価不安傾向の相関関係について分析する.実験的手法を用いた研究で両者に正の相関があることが指摘されており,本稿ではサーベイ・データを用いて同様の結論が得られるか検証するためである.分析結果は実験的手法の関係と整合的であった.この成果を含めこれまでの研究結果は,偏狭性を考察する上でのサーベイ・データの有効性を示している.

  • 魯 素云, 藤澤 美恵子
    2024 年 16 巻 Special_issue 号 p. S25-S30
    発行日: 2024/03/29
    公開日: 2024/04/10
    ジャーナル フリー

    運輸部門によるCO2排出量は全体の約25%を占めていることから,脱炭素化に向けて電気自動車(EV)に注目が集まっている.本研究は,EV普及に効果的な情報の示し方(フレーミング)を探るため,ランダム化対照試験(RCT)に基づくアンケート調査を行った.調査は,就職先が決定した学生を対象に,RCTによりフレーミング開示無の対照群と開示有の処理群(3タイプ)に分けて実施した.なお,認知反射テストにより回答者の認知力を捉え,認知力の差によるフレーミング効果の差も計測した.ロジスティック回帰分析の結果,図による環境的フレーミングの効果が最も強いことが分かった.また,経済的もしくは数字による環境的フレーミングが開示された場合には,認知力の低い直感型消費者に対して,その効果が高くなることも示唆された.よって,新社会人のEV選択を誘導するには,図による環境的フレーミングを基本に数字を併用する情報開示方法が最も効果的である.

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