行動経済学
Online ISSN : 2185-3568
ISSN-L : 2185-3568
論文
梅毒検査促進ナッジ
鈴木 恭平佐々木 周作大竹 文雄
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2025 年 18 巻 p. 56-83

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抄録

梅毒の感染者の報告数は2010年代半ばから急増している.予防とまん延防止には,検査による早期発見と早期治療が重要である.本論文では,ナッジメッセージが梅毒検査の受検意向を高めるかどうかを検証した.オンライン調査でランダム化比較試験を実施し,行動経済学に基づく5種類のメッセージが,検査の受検意向へ与える効果を測定した.その結果,「あなたがきっかけで大切な人も感染してしまいます」という梅毒の健康リスクをパートナーへの損失として表現した利他的メッセージが,受検意向を高める効果があることが明らかになった.効果について異質性の分析も行ったところ,利他性を刺激するメッセージは,性年代や梅毒の事前知識,学歴,交際相手の有無に関わらず,受検意向を高めることが分かった.

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