2017 年 9 巻 p. 118-121
本研究は,公益財団法人家計経済研究所が実施する「消費生活に関するパネル調査」を用いて,子どもの誕生が男性の労働時間に影響を与えるのかについて分析し,仮に影響を与えるのであれば,それは家庭内分業によるものなのかについて検証を行った.家庭内分業によるものなのかを検証する際,比較優位の指標として夫婦間の学歴差を用いた.
分析の結果,子どもの誕生は男性の労働時間を増加させることが確認された.さらに,自分の学歴が妻の学歴よりも高い男性の方がその他の男性に比べて子どもの誕生による労働時間の増加が大きいことが示されたことから,子どもの誕生により家庭内分業が発生していることが示唆される.最後に,家庭内分業が男性の生産性の代理変数である賃金に影響を与えるかについて分析したが,賃金に関しては有意な影響は観察されなかった.