2001 年 52 巻 1 号 p. 49-54
食道憩室を伴った先天性食道気管支瘻を経験した。症例は62歳男性で,20歳代に肺炎を繰り返した既往がある。その後は,特に症状はなく62歳になって再度肺炎となる。肺炎の治療を行うも改善の傾向を示さないため精査したところ,食道憩室部にpin-hole状の瘻孔を認めた。食道気管支瘻による難治性肺炎と診断し,胸腔鏡下にて手術を行った。手術所見で瘻管部周囲の炎症はなく,瘻管の切断と食道側の縫合で手術を終了した。瘻管の病理学的検索は行われなかったが,臨床経過と手術所見より先天性食道気管支瘻と診断した。手術治療としては,瘻管の切断で十分であった。