日本気管食道科学会会報
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症例報告
Dumon stentにより気管腕頭動脈瘻を生じた気管癌症例
平松 宏之渡嘉敷 亮二亀森 健一郎古川 欣也吉田 知之鈴木 衞
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2001 年 52 巻 1 号 p. 43-48

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抄録

Dumon stentは交換が可能であり,安全で,致死的な合併症についての報告も少ない。今回Dumon stentにより気管腕頭動脈瘻を引き起こした気管癌の症例を報告する。症例は68歳,男性で,喉頭癌に対し放射線治療を施行した約3年9カ月後,血痰を認め来院した。声門下約1.5cmの部位より末梢側に連続する腫瘍を認め,気管癌(中等度分化型扁平上皮癌)と診断された。約90%の狭窄を認め,気道確保のためにDumon stentを挿入し,放射線療法を施行した。約8カ月後より喉頭の浮腫および呼吸困難を認めるようになり,増悪したため輪状甲状切開を行った。その4カ月後に突然喀血し,大量出血のため死亡した。以前撮影したCT,MRIを再度調べたところ,照射による腫瘍容積の縮小のためにステントが移動し,その結果気管腕頭動脈瘻を引き起こしたと考えられた。癌性狭窄の場合,その後の治療によりステントが移動する可能性があり,ステントによる合併症を考慮した上で治療計画を立てる必要がある。

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