日本気管食道科学会会報
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嚥下研究におけるFrançois Magendieの功績
鈴木 康司柳下 三郎
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2002 年 53 巻 4 号 p. 313-318

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抄録
現在の嚥下研究の多くは,嚥下運動の急速かつ複雑な時間的経過を3つに分類して行われている。この嚥下運動を3つに分類することを初めて提唱したのが,François Magendie (1783-1855)と言われている。
Magendieは実験的生理学のパイオニアであり,当初消化の生理学の研究を行い,後に循環,血液,神経へと彼の研究分野は広がって行った。1816年Magendieは“Précis élémentaire de physiologie(生理学の基本的概論)”を出版しており,この中に前述の嚥下運動の分類についての記載がある。
今回われわれはMagendieのこの記述部分を翻訳し,発表する。本文献に触れるに際し,Magendieが嚥下運動を3つに分類した根拠は何であるかが,われわれにとっての最大の興味であった。しかしながら本文からはそれは読み取れなかった。彼の業績から推し量るに,おそらく解剖学および生理学的な実験をもとに推論したのではないであろうか。いずれにせよMagendieの先見性には驚くばかりである。
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