2002 年 53 巻 5 号 p. 430-435
われわれは最近1年間に,手術までに時間を要した小児気道異物2症例を経験した。1症例は枝豆誤嚥でX線透過性・舞踏性異物であったが,CTの経時的変化によって局在診断された。他の1症例は明らかな異物誤嚥のエピソードがなかったが,胸部X線にてクリップ誤嚥が診断された。手術までに症例1では誤嚥後9日間,症例2では症状出現後7日間を要した。2症例ともに,全麻下にてventilation bronchoscopeを用いて異物摘出術を施行した。枝豆症例では,膨化・脆弱化し細片化した異物を,吸引操作を行いながら慎重に摘出した。ともに術後経過は良好であった。気道異物は生死に関与する危険性があることを常に自覚して,迅速な対応処置と同時に一般家庭への啓蒙の必要性を再認識することが重要である。