日本気管食道科学会会報
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特集:気管食道科領域と咳嗽
呼吸器疾患と咳嗽
東田 有智辻 文生
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2004 年 55 巻 5 号 p. 375-379

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抄録

呼吸器疾患にとって咳嗽は最も代表的な症状の1つである。咳嗽は本来気道内の喀痰や異物を喀出するための生態防御反射であるため,安易に薬物によってとめる必要性はない。しかし,持続する病的な咳嗽は,体力を消耗させ,QOLの低下につながるため可能な限り原因を明らかにさせ,特異的でかつ適切な治療を施すべきである。しかし,咳嗽,特に慢性咳嗽の鑑別診断は多彩であり,決して容易ではない。多くの鑑別疾患の中から1つの疾患を導き出すには,ポイントをついた詳細な問診と身体所見の評価そして適切なタイミングでの検査が必要である。決して効果の認められない同一の鎮咳薬を長期間処方すべきではない。臨床上の注意点として,一般内科医は慢性咳嗽の鑑別疾患に一般の鎮咳薬の効果が認められないアレルギーが関与する咳嗽の認識を強くもつ必要がある。また,どうしても原因がわからないときや,咳嗽が徐々に悪化するときは,躊躇せず専門医へ移送するべきである。

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