2005 年 56 巻 6 号 p. 451-457
Docetaxel (以下DOC) は放射線に最も感受性のあるG2/M期に同調することから放射線増感作用を有している。DOC併用放射線療法 (weekly) の第I相試験の結果, 用量規制因子は粘膜炎, 推奨用量は10 mg/m2であったが投与スケジュールについては検討課題とされている。そこで喉頭温存率向上を目的として放射線増感作用だけでなくDOC本来のCytotoxicな作用も期待できるBi-weeklyでのbolus投与量を検討し, DOC隔週投与による放射線併用療法の忍容性について有害事象の発現を指標としてMTDとDLTを決定した。対象はStage IIおよびStage IIIのT2N1下咽頭癌症例, またはStage IIおよびStage IIIの喉頭癌症例とした。方法はDOCを放射線照射開始日より隔週 (原則としてday 1, day 15, day 29) に投与し, 同時にday 1より2 Gy/dayを週5日間, 30 Fr, Total 60 Gy照射した。DOCのlevel 1を30 mg/m2とし5 mgのstep upとした。Level 3でのDLTは粘膜炎と好中球減少でMTDは40 mg/m2, 推奨用量は35 mg/m2に決定した。とくに下咽頭癌では照射範囲の広さのためGrade 3以上の粘膜炎, 嚥下障害が出現した。一次治療効果も良好で第2段階臨床試験における推奨用量として適当であるものと考えられた。尚この臨床試験はIRB (Institutional Review Board) の許可を受けて行われた。