日本気管食道科学会会報
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原著
下咽頭癌T3・T4症例の治療成績
千々和 秀記坂本 菊男梅野 博仁中島 格
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2005 年 56 巻 6 号 p. 458-464

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抄録

1989年から2001年までに当院で手術加療を行った下咽頭扁平上皮癌, 一次根治症例T3・T4 114例 (T3 : 58例, T4 : 56例) を対象とし, その治療成績について検討を行った。1) 114例中5例 (4%) に局所再発, 109例中14例 (12%) にリンパ節再発を認め, 制御率は良好であった。2) 術後上咽頭に照射を行った88例中1例 (1%), 行ってない26例中4例 (15%) に局所再発を認め (p = 0.002), ルビエールを含めた上咽頭への照射が重要であると考えられた。3) 被膜外浸潤 (+) 50例のうち照射を行った42例中5例 (12%), 行っていない8例中4例 (50%) にリンパ節再発を認め (p = 0.01), 被膜外浸潤があれば照射が必要であることが再認識できた。4) pN (+) 76例中16例 (21%), pN (-) 38例中1例 (3%) に遠隔転移を認め (p = 0.01), pN (+) 症例に対して維持化学療法を併用していくべきと考えられた。5) 死因は遠隔死が17例 (15%) であり最も多かった。

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