日本気管食道科学会会報
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特集:気管食道領域の診断機器の進歩
画像診断機器の進歩─食道
食道癌リンパ節転移に対するCT,MRI
松木 充稲田 悠紀金澤 秀次中井 豪鳴海 善文平松 昌子谷川 允彦
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2008 年 59 巻 5 号 p. 486-491

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抄録

食道癌のリンパ節転移は,局所の深達度が比較的浅い場合でも高率に発生し,広範に広がりやすい特徴を有するため,頸胸腹2 領域あるいは3領域リンパ節郭清が標準的手技になっている。そのため,症例によっては過度のリンパ節郭清がしばしば問題となり,さらに表在癌に対する内視鏡手術の導入によってリンパ節転移に対する診断の重要性がますます増してきた。一般的には,CT,MRIを用いたリンパ節のサイズ評価が主流であるが,その診断能の限界をしばしば痛感する。そこで,われわれはCT,MRIを用いたセンチネルリンパ節ナビゲーション,MRI用リンパ節特異性造影剤USPIO (ultra-small superparamagnetic iron oxide) について検討した。センチネルリンパ節ナビゲーションの問題点としてセンチネルリンパ節を跳び越えた遠隔へのskip metastasisがあげられる。またUSPIOを用いたリンパ節診断では,リンパ節転移に対する正診率はかなり高いが,MRIの空間分解能の低さと心臓,大動脈の拍動によるモーションアーチファクトによってリンパ節の検出能の低さが問題であり,臨床活用するにはさらなる検討が必要である。

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