抄録
ロボット手術は内視鏡外科手術の技術的困難を克服するために開発され,手術支援ロボット,ダビンチ(Intuitive Surgical, USA)は,約950台近く設置されている。わが国では,独自に手術台に搭載可能な小型手術支援ロボットや,MR対応画像誘導下手術支援ロボット,さらに内視鏡ロボットなどの開発が行われている。内視鏡ロボットは,皮膚に傷をつけない低侵襲治療(NOTES;natural orifice translumenal endoscopic surgery)として注目され今後の進展が期待されている。
コンピュータ技術の発達は,術前手術シミュレーション,ナビゲーションシステムを用いたリアルタイム画像重畳を可能とし,より安全で確実な画像誘導下の手術操作ができるようになってきた。われわれはバンコク・福岡間の遠隔操作によるロボット手術に成功し,遠隔診療の可能性を探索している。気管食道領域へのロボット手術の可能性について述べる。