抄録
局所進行喉頭癌に対する治療法は喉頭全摘術が施行されてきたが,音声喪失などの重要な障害があった。1997年より声門癌T3,4症例に対して喉頭温存と有害事象の軽減を目的に超選択的動注療法を施行し良好な結果が得られた。1997~2008年に加療した声門癌T3:26例,T4:9例の35例と声門上癌5例(T3:2例,T4:3例)の合計40例について検討した。方法はセルジンガー法により1週ごとに4回,CDDP50~100mg/m2投与した。治療6カ月後に気管孔の残存と経口摂取で機能を判断した。その結果5年喉頭温存率はT3:92%,T4:74%,全体で86%であった。5年粗生存率は全体で81%であった。喉頭温存不能例は局所再発3例と軟骨壊死2例,喉頭浮腫1例の計6例で治療初期の症例であった。局所再発例にはCTアンギオを併用せず,動注範囲を確認できなかった。また,喉頭癌は制御されたが喉頭摘出が必要であった3例には大量の抗癌剤が投与され,局所進行喉頭癌には過剰投与量と考えられた。腫瘍体積あたりの投与量に変更後は機能障害はなく,動注法では腫瘍体積あたりの投与量が適切と考えられた。局所進行声門癌と声門上癌で腫瘍体積,動注回数,投与血管の本数,リンパ節転移個数,CDDPの総投与量について比較検討するとすべて有意に異なり,声門癌は原発巣を主とし,声門上癌ではリンパ節を主とした治療が必要である。