日本気管食道科学会会報
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特集:気管食道領域における漢方医学
耳鼻咽喉科領域における漢方医学
佐藤 弘
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2009 年 60 巻 5 号 p. 384-392

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抄録
現在薬価収載されている医療用漢方製剤の中で,しばりを含めて効能効果を有する製剤を中心に解説した。感染症,炎症性疾患では,病初期には葛根湯あるいは葛根湯加川〓辛夷を中心に,やや遷延した状態(亜急性期)は,小柴胡湯あるいは同湯に桔梗石膏を加味した小柴胡湯加桔梗石膏を中心に選択する。慢性化した病態では,柴胡を含む処方群,胃腸虚弱者では,人参,人参黄耆,膠飴が配合された処方を考慮する。アレルギー性鼻炎には小青竜湯,めまい,特にたちくらみには苓桂朮甘湯,咽喉異常感症には半夏厚朴湯を中心に処方を考慮する。その他加齢に伴う病態には腎虚として八味地黄丸を,更年期,月経異常を伴う例には,〓血として駆〓血剤である桂枝茯苓丸,当帰芍薬散を中心に治療を考えるとよい。処方選択に際しては,腹部所見が参考になる場合も多い。特に柴胡剤では胸脇苦満が,駆〓血剤では下腹部の抵抗圧痛が,八味地黄丸では,臍下不仁,小腹拘急,臍下正中芯が目標とされる。生薬および処方レベルでの副作用発現にも注意しながら経過を観察することが重要である。
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