日本気管食道科学会会報
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原著
披裂軟骨内転術および甲状軟骨形成術の合併症の検討
中村 一博塚原 清彰吉田 知之稲垣 太郎清水 雅明豊村 文将勝部 泰彰鈴木 衞
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2011 年 62 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

披裂軟骨内転術 (AA) の術後合併症は,急性期の喉頭浮腫による呼吸苦が一般的によく知られている。そのほか準急性期,晩期にも,血腫,感染,気管穿孔,食道穿孔などがある。今回われわれは,当科において施行したAAの術後合併症について検討した。
症例は2001年9月から2010年1月までにAAを施行した28例である。合併症は重複しており,28例中5例 (17.9%) に合併症があった。内訳は,呼吸苦が3例 (10.7%),術後出血が2例 (7.1%),食道穿孔が2例 (7.1%),感染・膿瘍が3例 (10.7%) であった。その結果として気管切開術を3例 (10.7%) に,ゴアテックス抜去を2例 (7.1%) に要した。
急性期の出血・血腫による喉頭浮腫には迅速な止血術と気管切開術が必要であった。準急性期に食道穿孔が発見された際には予防的気管切開術と迅速な瘻孔閉鎖術が必要であった。食道穿孔の予防には梨状窩粘膜の扱いをより慎重に愛護的に行う必要があると考えられた。晩期の感染・膿瘍では異物であるゴアテックスを残しておくことは難しく抜去が必要と考えられた。

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